MaydayArt

Shusuke Inaba's Blog

Kipper

Kipper

トロッコにはまだ続きがありました。
あの終わり方にだまされました。でも、続きが楽しみです。

自分の国語の勉強に書き写してるだけなので、
読まなくていいですからね。

最近、国語が楽しくなったのか、
その延長で外国の子供の絵本を見たりしています。
英語はほぼない絵本なので、もう絵ですね、絵を眺めてる。

けれど、ストーリーはありますから、わりと楽しめます。
今のところ、Oxford Reading Treeの Kipper君の絵本が好きです。
イギリスの日常生活も知れるし、Kipper君の表情がいいんです。

興味のある人はアカウント登録したら読めますよ。
Oxford Owl https://www.oxfordowl.co.uk/
登録の手順と使い方 https://tadoku.org/english/oxfordowl

Log inしたら、こちらのFREE eBook Libraryへ。
https://www.oxfordowl.co.uk/for-home/find-a-book/library-page/

Levelsは、Oxford Levelの1~20(とりあえず1からどうぞ)。
Seriesは、Oxford Reading Treeをクリック。
好きな本を選んで、Read eBookをクリック。

今日もありがとうございます。
どうかあなたに健康と幸福がありますように。


トロッコ 2

そののち十日余りたってから、良平は又たった一人、ひる過ぎの工事場にたたずみながら、トロッコの来るのを眺めていた。すると土を積んだトロッコのほかに、枕木を積んだトロッコが一輌、これは本線になるはずの、太い線路を登って来た。このトロッコを押しているのは、二人とも若い男だった。良平は彼等を見た時から、何だか親しみやすいような気がした。「この人たちならば叱られない」ー彼はそう思いながら、トロッコのそばへかけて行った。
「おじさん。押してやろうか?」
 その中の一人、ー縞のシャツを着ている男は、うつむきにトロッコを押したまま、思った通り快い返事をした。
「おお、押してくよう」
 良平は二人の間にはいると、力一杯押しはじめた。
「われはなかなか力があるな」
 他の一人、一耳に巻煙草を挟んだ男も、こう良平を褒めてくれた。
 その内に線路の勾配は、だんだん楽になりはじめた。「もう押さなくともよい」一良平は今にも云われるかと内心気がかりでならなかった。が、若い二人の土工は、前よりも腰を起したぎり、黙々と車を押し続けていた。良平はとうとうこらえ切れずに、おずおずこんな事を尋ねて見た。
「いつまでも押していていい?」
「いいとも」
 二人は同時に返事をした。良平は「優しい人たちだ」と思った。
 五、六町余り押し続けたら、線路はもう一度急勾配になった。そこには両側の蜜柑畑に、黄色い実がいくつも日を受けている。
「登りみちの方がいい、いつまでも押させてくれるから」一良平はそんな事を考えながら、全身でトロッコを押すようにした。
 蜜柑畑の間を登りつめると、急に線路は下りになった。縞のシャツを着ている男は、良平に「やい、乗れ」と云った。良平はすぐに飛び乗った。トロッコは三人が乗り移ると同時に、蜜柑畑のにおいをあおりながら、ひたすべりに線路を走り出した。「押すよりも乗る方がずっといい」一良平は羽織に風をはらませながら、当り前の事を考えた。「行きに押す所が多ければ、帰りに又乗る所が多い」一そうもまた考えたりした。
 竹藪のある所へ来ると、トロッコは静かに走るのをやめた。三人は又前のように、思いトロッコを押しはじめた。竹藪はいつか雑木林になった。爪先上りのところどころには、赤錆の線路も見えない程、落葉のたまっている場所もあった。その路をやっと登り切ったら、今度は高い崖の向うに、広々と薄ら寒い海が開けた。と同時に良平の頭には、あまり遠く来過ぎた事が、急にはっきりと感じられた。
 三人は又トロッコへ乗った。車は海を右にしながら、雑木の枝の下を走って行った。しかし良平はさっきのように、面白い気もちにはなれなかった。「もう帰ってくれればいい」一彼はそうも念じて見た。が、行く所まで行きつかなければ、トロッコも彼等も帰れない事は、もちろん彼にもわかり切っていた。
 その次に車の止まったのは、きりくずした山を背負っている、藁屋根の茶店の前だった。二人の土工はその店へはいると、乳呑児をおぶった上さんを相手に、悠々と茶などを飲みはじめた。良平はひとりいらいらしながら、トロッコのまわりをまわってみた。トロッコには頑丈な車台の板に、跳ねかえった泥が乾いていた。
 しばらくののち茶店を出て来しなに、巻煙草を耳に挟んだ男は、(その時はもう挟んでいなかったが)トロッコの側にいる良平に新聞紙に包んだ駄菓子をくれた。良平は冷淡に「ありがとう」と云った。が、すぐに冷淡にしては、相手にすまないと思い直した。彼はその冷淡さを取り繕うように、包み菓子の一つを口へ入れた。菓子には新聞紙にあったらしい、石油のにおいがしみついていた。

いい感じに終わったけれど、まだ続きます。

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